そもそも、なんのためのケンカなの、これ……。

さすがに止めたほうがいいよね?

これ以上、敵が増えても困るよし……。

「あ、あの、二人ともそろそろやめてくれない?」

「ほら、龍のせいで綾ちゃんが困ってるよ~?」

遥斗君はひょうひょうとした口調で言う。

「綾菜を困らせてるのはお前だろ?」

さっきより激しい口調で龍も言い返す。

「ちょっと、やめてっば」

そう言うものの、二人には聞こえてないみたいで……。


「先に綾ちゃんに手ぇ出したの龍じゃん。ギュッと抱きついちゃってさ~」


「っ……。あれはっ、こっちにもいろいろあるんだよっ」

「いろいろって?」

そこで何も言えなくなったらしい龍が黙り込む。