「…………と、いうわけなんですよ~」



早速の翌日。

仕事に入ってすぐ私は、いつも通りサラダを作りながら昨夜あった話をスタッフにしてみたわけだ。


と言っても、あのおっさんに会ってしまった事の方ではなく、あくまでも過労死しただの違う店に乗り換えただの好き勝手言われた、あのサラリーマンのお客さんの事の方だけど。


そして何やかんや言っても結局私もみんなと同じ、人の話には花が咲いてしまうお節介焼きなんだと自覚する。



「へぇ?子どもがねぇ。
って事は、やっぱり奥さんはいないのよ。離婚かしら?
でなきゃ、子どもにおつかいさせてまでここの惣菜買わないでしょ」



「離婚…ですかぁ。
でもあのお客さん、スゴく人が良さそうって言うか…優しくて頼もしい紳士な人でしたよ?」



さすがに家の前までではないけれど、昨夜はまるで私を守ってくれてるかのように送ってくれたのだ。

本当に安心して帰れたし、おかげであのおっさんも私を諦めたみたいですぐに車に戻って行ったもんね。