――その夜。




「ヤッホー、ひな」



「い いらっしゃいませ」



一度家に帰ってからまた仕事に入り、今日も夜の20時を過ぎた頃、彼はいつも通りやって来た。



…何か、お昼に一緒にランチをしたせいか、お客さんとしてまた会ったのが変な感じだ。



カウンターに置いた惣菜はやはり10代の男の子らしく、カロリーの高そうなお肉系のものや揚げ物ばかり。



「それと、アレ。
大丈夫?」



「…はい、少々お待ち下さい」



私は他にお客さんがいないのを確認すると、業務用冷蔵庫に向かって走った。




それからレジ袋に包んで冷蔵庫に入れておいたナイショのリンゴサラダを取り出すと、また彼の待つカウンターへと戻った。




「サンキュー!
おっ、美味そう」



「…はい、美味しいですよ。
では合計で、こちらになりまーす」




友だちではないって思ってたけど、ただの店員とお客さんの関係でもないか。


えっと…ご贔屓さん?


毎日買いに来てくれるし、私の作ったリンゴサラダを美味しいって食べてくれるから、ちょっぴりサービスしてるだけ。



「じゃーね、ひな」



「ありがとうございます、またお越し下さいませ」



レジ係やってれば、常連のお客さんと他人以上な関係になるのは、当たり前だもんね。



あー そう言えば、ご飯作ってくれる人はって質問の答え、聞いてないや。


…ま、いっかぁ。