仕事を終えた私は今日も盆子原さんと一緒に、帰り道を歩いた。



「今朝、慎吾の顔を見に行ったんですが、元気でしたよ」



「あ…よかったですね」



私よりも先に慎吾くんの病院に行った盆子原さんだ。

後から私も行った事は知らないだろう。



「この調子なら、明後日には退院できるかもしれません。
本当に、お騒がせしました」



「そんな…」



こんな事を言ったら不謹慎だけど、あの事故があったからこそ、私は盆子原さんの事も慎吾くんの事も傷付けないで済んでいるのだ。


そうでなかったら、今頃は…



「慎吾が無事に退院したら、改めて食事会をしたいと思います。
よかったら、今度はうちで僕の手料理をご用意しようかなぁ?肉や野菜の串カツに、サラダも添えて。
って、また慎吾に下手くそって言われるかな」



「…あはっ」



盆子原さんの話に笑いながら、それに比例して心の中はどんどんと重苦しくなってきた。


早く忘れて楽になりたいのに、それどころか益々胸が苦しくなってきてるのよ。