――ガシャン



「!!」



ソファの上で重ねた身体をよじらせていると、押し倒された時に手放していたケータイがソファから床に落ちたようだった。


その音に慎吾くんもビクッと驚いて一瞬手を止めたけど、その原因がわかったらまた手を動かした。



ケータイ…


…そうだ。
私、ケータイを取り戻したら、盆子原さんに連絡入れなきゃだったんだ!



「ん…っ、ダメっ」



「ひな?
もうダメじゃないよ。
てゆーか、今更止まんない」



着ていたTシャツは首もとまでまくり上げられて、晒された素肌に慎吾くんがたくさんのキスをしている。


それがとても心地よくて、つい現実を忘れてしまっていた!



「ダメっ
本当に、ダメなの!」



「ひなぁ!
もぉ、ワガママ言い過ぎだよ?
どうしてダメなの…」


「私っ、結婚するの!」



「………………っ」



さすがに結婚という言葉には、慎吾くんもピタリと手を止めた。


顔を上げ、私の方を不思議そうに見る。



結婚するってのは、ちょっとまだ早いかもしれないけれど。

でも慎吾くんが盆子原さんの息子さんなら、それくらいは言っても決して過言じゃあないもんね…っ