細い廊下を歩き、その先のキッチンを通り越してリビングのソファへとまっすぐに向かった。


いとも簡単に場所を白状してたけど、本当は違う所に隠してたりして。

むしろ、返す気なんてなかったら?



そうなると、契約を解除して新しいケータイに替えなくちゃ。



なんて心配をしてたけれど…



(…あ、本当にあった!)



慎吾くんが言った通り、リビングのソファの真ん中には、私のケータイがポツンと1つだけ置いてあったのだ。


隠すつもりなんてなかったんだ。

じゃあ、本当に返してくれるって事だよね…?



私はソファの上のケータイを取ると、パカッと開いて中のディスプレイを見た。

それからアドレス帳やメールボックスも確認したけど、別にいじられた形跡はない。



(…よかった。
まぁ、そんな悪い事する子じゃないもんね)



ホッと胸をなで下ろし、私はケータイを胸に抱えて帰ろうと踵を返した、その時だった。




「ひなぁ!」



「ひゃあっ」



背の高い慎吾くんから上から私の身体を抱きしめたかと思うと、そのまま押されて私の身体は慎吾くんごとソファに沈んだのだ。



(も もぉ!
やっぱりーっ)