「あのっ
あの時は、ありがとうございました!
でも私のせいで、キミが濡れる羽目になっちゃって…」



そうなのだ。

いくら家が近いからって、あの大雨の中を傘も差さないで帰れば、さぞずぶ濡れになっただろう。


しかも、私は彼の友だちでもなければ知り合いでもない。


初対面の赤の他人に、そこまでしてくれるなんて。

あの時はチャラチャラしてて失礼な奴!なんて思っていたけれど、本当は若いのにスゴくイイ奴なんじゃあ……。




「…あぁ、帰ってから大風邪引いた」



「わぁ、やっぱり!」



「なんてウソ」



「…………」



「でも寒かった」



「ですよねっ」



「だからコレ、マケてくんない?」



ニマニマ変な笑みを浮かべては、カウンターに置いた惣菜をチョンチョンと指差す彼。



「お会計失礼します!」



やっぱり失礼な奴だ!

人を心配させといて更に調子に乗るなんてっ



私は1つ1つ、それは丁寧に丁寧にバーコードをリーダーに通して小計を出して差 し 上 げ た!!



「1260円でごさいます!」



これだから若いもんはぁ!