――翌朝





昨夜、途中までイチゴバラさんに送ってもらって家に帰ってからは、何だか胸がいっぱいで何もできなかった。


せっかく職場からいただいた残り物の惣菜も、いつもならそれが私の晩ご飯になるんだけど食べられなかったの。


お母さんには心配されちゃったけど、でも昨日ばっかりは仕方ないよ。

私の、初めての大人の恋愛だったんだもの…。





――なのに。




「あ………そうだった」



朝起きて、とりあえず顔を洗って何とかコーヒーとトースト1枚は口にできた。


それからようやく落ち着いた所でケータイなんかを入れてるバッグを開き、そこに私のものではない物体が目に入り「あ…」と思い出したのだ。




「これ、返しに行かなきゃだった…」



古いレシートやカード、それから高校生にしては持ちすぎなくらいの大金(サラダ代を失敬した時に見えちゃいました)が入った黒いお財布。



それと、ピカピカと着信を示すケータイを開くと、受信していた慎吾くんからのメール。






*****



Frm;慎吾くん

Sb;Re



お金がなくて、何も買えないよ~


腹へったよ~(T△T)


ひな早く来て~(≧∇≦)



***







「…もぉっ
自分からお財布置いて行ったクセに、何が腹へったよ」



これじゃあすっかり慎吾くんのペースに乗せられてるわけだけど、でもお財布だけは返さないわけにはいかない。


家は知ってるわけだし、やっぱり行くしかないよね。