ようやく慎吾くんの言おうとしてる事がわかり、私は焦ってそのお財布を取って突き返そうとした。



「ダ ダメよ!
私、もう慎吾くんの家には行くつもりないの!
大事なものでしょ、ちゃんと持って帰って!」



まさか、そんな事をしてくるとは思わなかった。


私なんて、遊び感覚の関係でしょ?


どうしてそんなに、私にこだわるの?




「ヤだよ。明日は絶対、それうちに届けに来てよね。俺待ってるから。
じゃね、ひな」



「あ……っ!」



まるで逃げるように、慎吾くんはカウンターに置いたサラダを取って立ち去って行った。


私はと言うと、カウンターが邪魔してすぐに追いかける事ができず、手を伸ばしてただ彼の背中を見送る事しか出来なかったという…。






「あっ、ひな!
このサラダのお金、財布から抜いといてねー」



クルリと一瞬振り返ったかと思ったら、それだけ言って走って行ってしまった。



「ちょ…っ!」



もぉ!
勝手なんだからーっ!!