「妹尾さんは、いつも明るくて元気よくて。笑顔で気持ちのいい接客をしておられる。
それが仕事あがりで疲れていた僕には、特に元気をもらってましたよ」



「…や…………」



そんな面と向かってべた褒めされると、却って恥ずかしくなってしまう。


もともと童顔のせいで、人と話をしたりするのは苦手だったんだけど。

小山さんに背中を押されに押され、マニュアルではないあいさつなんかも苦手ながら覚えてしまった。


「遅くまでお疲れ様でしたね」なんて、惣菜屋の店員が心配する事じゃないのにね。


今でこそ慣れて普通に言っちゃってるけど、本当は半ばヤケクソで言い始めただなんて…イチゴバラさんには微塵も考えつかないだろうなぁ。




「大袈裟ですよぉ。
私が休みの時は、他のスタッフだっておんなじように接客してるだろうし…」


「いいえ。
僕は妹尾さんだからこそ、本当に癒されていたんです」



「…イ イチゴバラさん…っ」




そう言ってまっすぐに向けられていたイチゴバラさんの視線に、私も目が離せなくなっていた。


そしてそのまるで意味深な発言には、小さくとも私の胸はドクドクと早く鳴り響いていたの。