昼夜問わず車通りの多い交差点だから、外灯や車のライトで決して真っ暗ではないこの道。


そんな中、ライトに反射して見えるイチゴバラさんの表情は、何だか不穏そうにも見える。



プライベートな事、聞き過ぎたかな。


聞くだけ聞いて、結局私は何かしてあげるわけじゃないものね…。




「…毎日、仕事が終わって晩ご飯のおかずを買う時が、一番ホッとできる瞬間でした」



「あ…はい…」



何を言うのかと思ったら。


それは以前から、店の方で話をしていた時に聞いた話だ。


夜遅くまで仕事をして、ようやく肩の力も抜いて今から食べるご飯のおかずを選ぶ瞬間だもの。

ずっと緊張していた状態から解放される事は、さぞ息も抜ける事だろうな。




「だけどそれは、妹尾さん。あなたのお陰なんだと思いました」



「………………えっ
わ 私ですか!?」



顔を上げ、ジッと私を見据えながら名前を言ってきたので、ドキッとしてちょっと大きな声が出てしまった。