まっすぐの道をずっと歩き、コンビニを通り過ぎて本屋さんのある交差点を左折した先のアパートが私の家。



以前の時も送ってもらったその曲がり角までたどり着くと、私たちは足を止めた。




「…ここで大丈夫です。
あの、送って頂いてありがとうございました」



クルリと踵を返して、私はイチゴバラさんの方へと向き直った。


そんなに長い距離じゃないんだけど、その間にしたお話で知らなかったイチゴバラさんの事をいろいろ知っちゃったな。


それまで変な詮索ばかりしちゃってたけど、結局殆ど当たらなかったんだもんね。

やっぱり人ってのは、ちゃんと向き合って話さないとわかんないものなんだよ。



「僕の方こそ、ありがとう。何だかあっと言う間だったね」



「あはっ
うち、職場から近いとこに住んでますから」



「ん…そうじゃなくて…」



「?」



急に元気のなくなったような表情に、私は首を傾げた。



「イチゴバラさん…?」



だけどまだ何か言いたげな感じに、私はそのままイチゴバラさんの顔を覗き込みながら伺っていた。