「…そんな風に、言ってくれますか。
でも実際は、本当に家庭に対して時間も取れていない、酷い状況なんですよ」



「…イチゴバラさん…」



だけどもそんなイチゴバラさんは、フッと顔を伏せがちにして言った。



家庭に対して時間も取れていない…かぁ。


夜遅くに仕事を終えて帰っても、ご飯を食べてお風呂に入ったりしてたら、あっと言う間に寝る時間になっちゃったりするよね。


私みたいに週休2日で定時にあがれる仕事だったら、もっとしたい事だってできるだろうになぁ。



「僕が子どもにかまえない分、少しでも不自由な思いをさせないようにってお金を渡しているのですが。
…これも、正しい事だとは言えませんしね」



「ぁ…」



いつも惣菜を買いに来ている時の優しそうな顔しか知らなかったけど、本当はイチゴバラさんにもそんな事情があったんだね。


コソコソ裏で小山さんたちと好き勝手な詮索して噂話してたけど、何だか申し訳ない気持ちになってきちゃったな…。