「……………………」



「…………………っ」



イチゴバラさんのその意味深な言葉にまた変な空気が流れ、沈黙してしまった。


だってだって、惣菜1つを買いに来てる理由を訊いたのに、会いたかっただなんて。

それって、どういう……




「ヒナ坊ーっ
いつまでも突っ立って何しとるんかー!
早く清算しないと先に帰るぞー!!」



「わわっ
はいっ、久保店長!」



閉店時間になり、まだお客さんがここに1人いるとは思っていないだろう久保店長が、厨房から私に大声をあげてきた。




「あぁ、仕事の邪魔してすみませんでした」



「い いえっ
あの、でもイチゴバラさんっ
さっきの言葉…」



閉店時間にはなっても、今はまだ勤務中だもの。

決してゆっくり話をしてもいいわけじゃあないんだけど、でも…っ




「…よかったら、今夜また途中まで送らせてもらえませんか。
今度は、個人的な理由かもしれませんが…」



――ドキン…っ



“会いたかった”

なんて言葉に、次は

“個人的な理由”

だなんて…。



ドキドキ動揺に近いものを感じつつも、それらの言葉に嫌悪感はなかった。


むしろ、私みたいな大人か子どもかわからないような奴にそんな言葉をかけてくれた事に、少なからず嬉しいって気持ちもあったの。