「ひな、もっとこっち来てよ」



「ぁ…っ」



慎吾くんに更に腕を引かれた私の身体は、再びソファの上にと戻った。

それからまた頭を抱き寄せられると、鼻を近付けられる。



「あ あのっ、カレー…」



「カレーは晩ご飯」



「じゃあ、あの…っ」



「ひなは、俺のおやつ。
ね、食べていい?」



頭に触れた鼻の感触が下がり、耳や首筋に慎吾くんの唇を感じた。



た 食べていいって言うのは………

やっぱり、アレの事かなっ




「ねぇ、ひなってば」



「え えっと…っ」



いくら未経験の私でも、知識さえもないわけじゃない。


それに今まで経験がなかったのは私が拒否したとかそんなんじゃなく、単に恋愛自体に縁がなかっただけ。



私だって、その……オトコというものに興味はある。



触れてみたいし、触れられたい。

キスだって、してみたい。


もちろん、その先も…。



何の経験もないまま、28になっちゃってさ。
世間では遅いくらいだよね。


だけど、まさか何の心の準備もできていないうちに、急にこんな事になるなんて…!