「えーっと…
後は焼き肉風野菜炒めを作ろうかなって思ってるんだけど、カレーには合わないかなぁ」



そもそも肉じゃがを作る予定がカレーになっちゃったんだ。

せめて、からあげは予定通り作ってあげたかったけど、まさかの無念。


自分がこんな不甲斐ないなんて、情けないなぁ。




「もういいよ、ひな。
今日の晩ご飯、久々にまともでテンション上がる!
今からちょー楽しみっ」



「…そう?」



晩ご飯が久々にまともでなんて聞いて、ちょっぴり胸がズキっと痛んだ。


普段は毎日、店の惣菜ばっかりなんだもんね。


今日片付けたうちの店のプラスチックパック、結構たくさんあったもの。


土壇場で作ったカレーであんなに喜んでくれるなら、私…




「それより、ひな。ずっと立ち作業ばっかさせてごめんな?
今冷たいジュース入れてあげるから、あっち座りなよ」



「えっ、あっ
はい…っ」



ニコニコ上機嫌でグラスに冷蔵庫のジュースを入れてくれた慎吾くんは、私をリビングのソファへと案内した。



「ほら、座って座って!
ほい、お疲れさーん」



「…ありがとう」




ツブツブ炭酸の泡がはじける音が、グラスから聞こえてくる。


エアコンのよく効いたリビングのソファに腰掛けると、私は早速グラスのジュースを受け取ってゴクゴク飲んだ。