「早瀬ぇー」


 いつもの私からは考えられないくらいの、甘い声。



 だけど、今なら素直になんでも言えそうで。


「ん?って、どうした!?」


 早瀬は私の顔をみたとたん、ぎょっとしたように言う。




「ふふっ、頭がね、ボーっとするの」



 何故だかわからないけれど、笑いがこみ上げてきた。






 自分で何を言っているのか分からなくなってきて、その後の記憶が私には、ない。