え?

 だって、今日はだめだって言ったのは早瀬でしょう…?



「1日勘違いして、バイトが入ってたんだよ…」


 バイト…。


 私、そんなの聞いてない…。


 また、泣きそうになってくる。



「でも、バイトって今日で終わりだし。那緒を寂しくさせるくらいならもっと前にやめてたし」



 え…?


「俺がバイトしてたのだって、那緒のためなんだからな?」



 そう言うと、早瀬はポケットから何かを取り出した。








「メリークリスマス」



 早瀬が取り出したのは、私の指にぴったりの指輪だった。





「これを買いたくて、那緒にあげたくて、バイトしたけど、那緒を悲しませたんだったら意味なかったな…」


 ううん、そんなことない。



 すごくうれしい…。



 止まっていたはずの涙がまた溢れてきた。




 途方もなく気持ちが溢れてきた。





 早瀬が好き…。









「早瀬、ありがとう」


 私はプレゼントの代わりに、初めての私からのキスをした。


 ごめんね、早瀬。




 早瀬は私をこんなにも想ってくれていたのにも関わらず、私は独りでいじけてた。




 私、もっと早瀬が好きになったよ…。