「那緒が俺じゃない誰かを好きになったのかと思った…」


 木下君のことだよね?

 ありえないよ。

 早瀬以外の誰かを好きになるだなんて、私には考えられない。



「私、早瀬が好き」


 早瀬は、「知ってる」そう呟くと黙り込んでしまった。



「早瀬こそ、私なんか好きじゃないんじゃないかって思った…」


「私なんか、なんて言うなよ。つうか、俺が那緒以外を好きになるだなんて有り得ない」


 その言葉が、嬉しかった。


 私の視界がぼやけてきて、早瀬が見えなくなってしまった。


「な、那緒?」


 困惑したような早瀬の声が聞こえる。


 ごめんね、嬉しくて。


「早瀬…今日ほんとはクリスマスパーティーなんて行きたくなかったの」


「え?」



「早瀬と二人で過ごせたら、それでよかったの」



 私は泣きじゃくりながら精一杯言った。



「俺だって…那緒と過ごしたかった」