「那緒、そんなんじゃ帰れないでしょ?木下君、送っていってあげてくれる?」


 綾ちゃんが木下君に言った。


「ちょ…らいじょうぶらって!」

 明らか大丈夫じゃない。



「送っていくよ」



 ホントすみません…。

 酔っ払っているくせにやけに冷静な私。



 今、早瀬は何をしてるのかな…。



 木下君、迷惑かけてごめんなさい…。




「ごめんね?」


「別にいいよ。気にしないで」


 木下君は私に微笑んだ。


 話した事なかったけど、木下君っていい人みたいだね…。






「クリスマスなのに彼氏はいいの?」


 早瀬の事、だよね。



「用事なんだって…」




 木下君は「ふーん」と言うと、私の手を握った。



「え?ちょ…」


「こけたらダメでしょ?」



 そう言うと前をむいてしまった。


 まぁいいか。


 ぼーっとしていられるし。








「何やってんだよ…ッ」