ある日、放課後私は早瀬と帰るのをその日だけやめた。


 理由なんてない。


 ただなんとなく。





 街を歩いていると、前から歩いてきた人と目があった。


 ばったり礼ちゃんに会うだなんて…。



 話を聞きたい私だったけど、弱虫な私は自分から声をかけることができなかった。


 私は逃げるように目を伏せて、早足で通り過ぎようとした。






 すると、礼ちゃんが私に声をかけてきた。






「待って!」






 小さいけれど、はっきりとした礼ちゃんの声が、私を呼んでいた。






 私は礼ちゃんに誘われて、近くにあったカフェで話をすることになった。