「きれーい!」

 早瀬と2人で見た夜景はすごく特別な感じがした。


 辺りはすっかり暗くなっていて、町の灯りが宝石のようにキラキラと輝いていた。


 私がはしゃいで声をあげていると、早瀬が後ろで私を見つめて微笑んでいた。






 ゆっくりと動いていた観覧車。


 急に『ガタン』という音がして、観覧車が動きを止めた。




「うそ…と、止まった…?」

「そうみたい」




 どうしよう…。

 絶対降りれないっ!



「嘘。てっぺんまで来ると30秒間だけ止めてくれるんだよ」





 なんだ…。


「よかった…」





 私が胸をなでおろしていると、早瀬が私の頭をなでながらいった。





「さっきから何回も止まってたけど気づかなかった?」


「うん、だってはしゃいでたか…」






 『はしゃいでたから』そう言おうとしていたはずなのに。


 私の口からは最後の『ら』の言葉が出てこなかった。















 だって私の唇は早瀬の唇で塞がれていたから。