「きゃぁぁっ」


 暗闇で薄気味悪く浮かび上がる人形が見えるたび、私は早瀬に抱きついた。


 いつもなら恥ずかしがっている所だけれど、今はそれどころではない。


 お化け屋敷からでた瞬間、私は安心して座り込んだ。



「もういや…」


 気が強い私にとっては、恥ずかしいことばかりだった。



 座り込む私の前へ早瀬はしゃがみこんで、幸せそうに笑って言った。



「俺は良かったけど」


 早瀬君、あなた性格変わってませんか…?


 私は顔を赤くして、口をパクパクしているだけだった。