やった!
恭のお母さん好きっ!
話が終わって電話を切る。
「母さん来んの?」
「うん、来てくれるみたい」
「まじかよ…あんなことやこんなこと、できねーな」
「あんなことやこんなこと…?」
「あ?そんなん セッ「わーーーーッ!!!」
なんだこの人っ…!
広げたままだった脚で恭を蹴っ飛ばす。
「暴れんなばか!」
血相変えてあたしを取り押さえる。
「どしたの?」
「ここにもう1人いんだぞ!?」
お腹を指差して…。確かにもう1人いるけど…。
「大丈夫だよ?」
「潰れでもしたらどうすんだよ!」
……………………恭の言うあんなことやこんなことのほうが暴れる気がするよ…。
「脚開いておとなしくしてろ」
「開きません」
迫ってくる恭を押しのけてもう一度本に目をうつす。
愛…。
あたしにも“愛”って入ってるんだよね、一応。
でも愛されなかったなーー…
「乃愛?なに泣いてんだよ!」
え…?
泣いてる?
泣いてなんか…
「ごめん、強く言い過ぎた」
「恭のせいじゃないよ…」
「でも「名前考えてたんだよ」
「名前?」
「うん、“愛”ってあたしにも入ってるんだよねって」
「入ってるだろ」
「だけど親に愛されなかったから産まれてきた子にはたくさん愛情をあげたいな、って」
「乃愛が親か」
笑われた!
「なんだよー?」
恭の胸板をパンチ!
「大事にするから、乃愛も、子供も」
「そうしてください」
ただいま妊娠25週目。
寒くなってきた11月。
「ちょっ…と、ダメだってばぁ…////」
「ん?」
「っやぁ…」
日曜日の昼下がり。
ここはリビング、床の上。
「んんっ…」
大きくなったお腹を見る
はずだった…
のに。
「だからっ…きょお…」
お互い裸。
(恭いわく)激しくない程度に※☆◆*…/////
「ぜっ…全然激しくなくっ…」
「っん…?」
ポタッと恭の汗がほっぺに落ちる。
「はぁっ…はぁ…」
「…乃愛…すっげぇ…っ…かわいーよ…」
恭のおでこに汗でくっついた髪の毛。
すごく色っぽい。
「体…きつい…?」
「んっ…だいじょ…」
「体勢変えよっか…?」
もうガンガンやられてなにがなんだかわからない。
「ぁぁあっ…ぅ…」
ガチャッ!
……………え…?
「はーい、恭!久しぶり!」
え、え、え…?
なん、で…?
「あら?下にいるのは…乃愛ちゃん?」
なんで?
「……………なんで母さんいんだよ」
「遊びに来たのよ?」
「タイミング悪すぎ」
「……お楽しみの邪魔しちゃったみたいね」
「かなり邪魔です」
「一回退室しようかしら?」
「そうしてください」
玄関から出てく音がして、あたしと恭は起きあがった。
「……………シャワー行ってこい」
「…ん…」
重い体を動かしてお風呂場に向かった。
恭、なんでこんな普通でいられんの!?
恥ずかしいじゃん!
シャワーから出るとリビングで恭と恭のお母さんが紅茶飲みながらしゃべってた。
「乃愛ちゃん、お疲れ様」
お疲れ様?
「え…?」
「恭の相手、大変でしょ?」
あ゛…………
「……はい、大変です」
でもね、幸せだから。
「で、いつ出産予定なの?」
「3月です」
「あら、3月」
あら3月?
「私と一緒だわぁ♪」
………………そうなんだ。
「私、3月12日なのよ~」
え!
「あたし、5月12日です」
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ピンポーン…
家のインターホンが鳴る。
「パパーーー!」
あたしたちの愛娘…藤波愛里は玄関にまっしぐら。
ただいま、愛里2歳。
子供の成長が早くてあたしはびっくりしてるよ。
もう階段も登るし、てくてく歩くし。
「愛里~!あんまり走ると危ないよ~~っ!」
あたしも急いで玄関に走った。
「おぉ…ただいま、愛里」
でも遅かったらしく。
キスする恭と愛里を見てしまった。
…………旦那さんと娘なのに。
なんか恭を愛里にとられた気分でありつつ
愛里を恭にとられた気分でもあった。
「ただいま、乃愛」
愛里を抱っこしたままあたしに微笑みかける。
はぅっ…!
悩殺!
ずきゅーん!!
「乃愛さん?」
「お、お帰りなさい」
「うん、ただいま」
会社でもこんな感じで悩殺スマイル振りまいてるのか?
「お風呂沸けてるよ」
「んー…愛里、風呂入るか」
「うんっ」
んなーーーーー!!!