え゛。


「なんで!」


ズボンが好きだった!?


「スカートやだ」


「…………ショーパンで行く」


「短いのやめろよ」


「なんでよ!」


脚出すなってこと!?


「やだから」


あたしの脚なんか見たくないと。


「…………ふーん、そう…わかった…」


「だから「あたしの汚い脚なんか見たくないってことね」


「は…?」


なにびっくりしてるんだか…。


自分で言ったのに。


「なんでそうなんだよ?」






「そうでしょ?」


「………家でなら好きなだけ脚出していいけどさ…」


家でなら?


「外には乃愛の脚をいやらしい目で見る奴もいんだろ…」


え、あたしの脚が汚いからじゃなくて…


「俺が目離した隙に襲われでもしたらやだし…」


心配、してくれてたんだ…。


「あぁ、もう…わかった?」



「わかったよ!キュロットで行くねっ!」


「………わかってないじゃん」


わかってるしっ!


おしゃれしなくちゃ~♪







*******


「恭先輩起きて~~~っ!」


………………


高い声が頭に響く。


「きょ~~~せ~~んぱ~~~いっ!」


俺を呼ぶ声が近くに来てるのがわかって、目をうっすら開けてみる。


「恭先輩~~~…」


巻いた茶髪が視界に入る。


「…………乃愛…」


よく朝からこんな元気に…


「あ!恭先輩起きた!」


声高ぇーーーー……


「乃愛…こっち」


「こっち、じゃなくて起きて!動物園!」





うるっせーーー…


でもかわいー…

とか思ってる俺はかなりの愛妻家だと思う。


「…今起きますよーー…」


「やった!早く準備して行こうっ?」


「わかったわかった…」


ベッドから起きて見えた乃愛の格好が。


胸元が開放的なシャツに…黒いショーパン。


脚出すなっつったのに思いっきり出てんじゃねーかよ。


そんな白い美脚出して歩いてたらみんな動物よりお前の脚見んだろーが!



なんて言うはずもなく。






え、だってキモくね?


束縛激しいとか思われたくねーし。


「恭先輩、早く!」


「んーー…」


俺の手をぐいぐい引っ張る。


「朝ご飯食べよっ」


……どっちが年上なんだかわかんねぇし。


「あ」


今日の朝ご飯、フレンチトースト。


しかも…量多くね?


え、なに?


これ全部食うの?


俺の前に置かれた皿の上に重なる黄色いフレンチトースト。


「乃愛、これ「いただきまーす」


………………まじかよ。






乃愛の分もあったのか。


俺1人で焦って損したわ。


「恭先輩て、朝は小食だよね」


「胃が起きてないからな」


「朝こそ食べなくちゃ~」


乃愛の小さい口はフレンチトーストでいっぱい…。


「ちゃんと噛めよ」


俺が笑うと乃愛は顔を赤くして頷いた。


「…ごちそうさま」


「えっ、もういいの?」


「十分」


朝からがっつり食えねー。


それから準備して、荷物を車に積みこんだ。


「荷物少ないね」






「一泊二日だとこんなもんだろ」


「えーーー?」


乃愛の持ってるのはキャリーケース。


「そんなになに入れんだよ」


「女の子だから仕方ないの」


「勝負下着か」


「ち、違うもん!」


全く…


不思議だ、こいつ…。


「ほら乃愛、助手席乗って」


「ふふふっ」


助手席のドアを開けてやると ニコニコしながら乗り込んだ。


「キモいよ」


「えっ、ひどいっ!」


「1人でにやけてんなよ」


運転席に座る。







「ほらっ、出発進行~~!」


「はいはい…」


今日はこの不思議なテンションにもつき合ってやるか…。


「はいっ、コーヒー」


「え」


コーヒーが入ってるらしいタンブラーが差し出される。


「いらない?」


「いや…ありがと」


「朝コーヒー飲む時間なかったから!」


気の利く女に「もしかしてあたし、今めっちゃいい奥さん!?」


………………自分で言うか。


「ねぇ恭先輩っ、あたし最高の奥さん!?」


「……………」





自分で言ってるあたりが…。


でも普通に乃愛は俺にとって なにより大事な存在で…


「…どんな乃愛でも、最高だと思うけど」


「………………」


今もっのすごい恥ずかしいこと言ってやったのに 乃愛は口を開けたまま放心状態。


「なんか言えよ」


「…………」


俯いた乃愛の顔を覗きこんだら。


「っ…熱あんじゃね?」


ってくらい、顔が赤い。



「だ、大丈夫…」


「どした?」


「きょ、恭先輩が…」


俺?