5月12日。


一年に一度当たり前にくるこの日が、あたしは大嫌いだった。



〈9年前 5月12日〉


朝起きると枕元にお札と箱が置いてあった。


「一万円…」


14歳、中学二年生の誕生日。


本当なら家族、友達とわいわい祝いたいところ。


でもあたしにはできない。


家族に祝ってもらうなんて、夢のまた夢。


「……ケーキだぁ…」


真っ白い箱の中にはチーズケーキ。


…苦手なチーズケーキ。


「雅」