ガチャ、と玄関のドアが開く音がした。



「お帰りなさいっ!」


「………ん」


政略結婚させられたあたしと彼。

彼は藤波恭。

高校の時の先輩で、今は『ark』ってゆうブランドの若手社長。


あたしは藤波乃愛、
旧姓西島。

実家は有名旅館。


「藤波先輩、晩ご飯どうしますか?」


「……………」


迷惑そうに眉間にシワを寄せて…


「いらない」


そう、言い放った。


………頑張って…作ったのに。