「んっ…」
無理やり唇をあてられる。
こんなの初めて。
「んぁ…」
割って入ってくる舌に意識が遠のく。
「し、ん…」
名前を呼んだ、その瞬間唇が離れた。
真っ赤で肩で息をする私。
私を睨む慎。
「…今さら、離さねぇから。」
「え…」
何言ってるの?
「他の奴になんか渡すかよ!」
そう言うと慎は私を抱き寄せた。
これは夢?
都合のいい私の夢?
「…何処にもいくなよ、佳苗。」
「…慎っ」
小さく、震える声で私の名前を呼ぶ慎。
その背中にゆっくりと手を回す。
「…慎は、慎は私のこと好き?」
私の不安。
貴方は私のこと好きですか?
「…それ、言わなきゃわかんねーの?」
耳元で聞こえる少し照れたような声。
ねぇ、小さい声でもいい、好きだと言って。