医師が声をかける。

いまは、目は大丈夫かい?

すこしぼやけますが大丈夫です。

母親が厳しい口調で、

ちゃんと正直に言いなさいよ!

としゃべる。


たしかに少しではない。
だけどなんとか相手の区別はつく。


医師は入院するように薦めた。

できれば早い方がいい。

このまま放っていたら…
いずれ、まったく見えなくなると。

医師に言った。

少しだけ入院を待ってもらえませんか?

テレビももう見ません。

なるべく、目を閉じています。

負担をかけないようにしますから!


医師は困った表情をしていた。