そんな、いろんな想いを巡らせて、俺より幾分頭の方の成長がよかった翔太がとっさに嘘をついた。
『嘘だよ。幼馴染として、俺らも南緒のことが好きだよってことだよ。』
そう、笑ってごまかしていなかったら。
俺たちはあの時どうなっていたんだろう。
南緒は、それを聞いて、安心したように顔を落ち着かせて、息を吐いた。
『よかった』
そう言って、笑った。
そしてその言葉は、俺らを再び苦しめた。
好きだったのに。
ずっと、ずっとずっとずっと、好きだったのに。
俺らは南緒に、この想いを『伝えちゃいけない』んだ。
幼馴染のラインを、俺らは超えてはいけないんだ。
南緒のことが好きだ。大好きだ。ずっと一緒にいたい。離したくない。
南緒を、傷つけたくない。
それなら。きみが望む完璧な幼馴染を、俺らは演じてみせるよ。いつまでも3人でいられるなんてこと絶対にないけど、せめて。
きみが笑って過ごせるように、俺らは幼馴染として、きみを守るよ。俺らが次にこの想いを伝える、その日まで。
南緒のために、俺たちは幼馴染のラインから絶対に外れない。南緒が、笑顔でいられるために。