あの時の南緒の顔は、今でも鮮明に覚えている。少しだけ間を空けて、南緒の笑顔が一瞬で消えた、あの時。
『……え?』
小さく出た南緒の声。
『どうして?』
『どうして、そんなこと言うの?』
『私たち、ずっと3人一緒じゃなかったの?』
立て続けに落とされる南緒の言葉。
南緒の表情は明らかに困っていた。俺らの言葉が南緒を傷つけたのは明白だった。
そして、俺らは思った。
『しまった』
『やってしまった』
『困らせた』
『言ってはいけなかったのか』
『伝えては、いけなかったのか』
『俺らの想いは、南緒にとっては』
『幼馴染を、俺らは超えられない』
『超えては、いけない』