「千絵さんがそんなこと言うから、ムードも何も無くなったんだけど」


腕を解いて彼が言う。


「いいじゃない、あたしは真剣な勝也くんよりこういう可愛い勝也くんの方が好きなんだもん」


そう言ったものの、彼は納得いかなさそうだ。


「忘れてるみたいだからもう一回言うけど、俺男だからね?」


「分かってるって」


「…分かってない」


彼がこちらをきっと睨んで…一瞬にしてあたしはベッドに押し倒されていた。


「勝也くん…?」


「わがままなのは分かってるけど…たまには男らしいとか、かっこいいとか思ってもらいたいんだよ?」


腕を掴む彼の手に力がこもる。


「…可愛いなぁ」


彼が望む言葉じゃないのは分かっていても、そう言わずにはいられなかった。


なんていうか…あたしのことで一生懸命になってくれるのって嬉しいかも。