「勝也くん…」


「ん?」


「そんな思いさせちゃってごめんね。
これからはあたし…カレーでもハンバーグでも作るから」


自分でも何を言いだすんだろうと思ったけど、とりあえず今は勝也くんを笑わせてあげたい。


「カレー?」


間抜けな声で彼が繰り返した。


「渡辺くんにいつも頼むんでしょ?
そのくらいならあたしが作るから。
一緒に食べようよ」


それを聞くと、彼は恥ずかしそうに笑ってくれた。


「ありがと。
ねぇ、千絵さん…」


「ん?」


「グラタンもお願いね」


無邪気にそう言う勝也くんを見て、内心ほっとしていた。