「いいんだよ、勝也くんはいっぱい甘えてくれれば。
もう家族みたいなもんじゃない」

このまま離れられないくらい、あたしに甘えてくれればいい。
そう思った。


「だめだよ…そんなこと言われたら、弱くなっちゃう…」


「あたしなんかとっくになってるし」


彼の涙を指で拭ってあげた。
改めて見ると、泣いた顔も悪くない。


「千絵さんズルいよ。
そんなこと言って、どうなっても知らないからね」


「別に困らないから」


そう言って笑うと、反対に彼はさらに泣き出した。
まるで赤ちゃんみたいに、勢い良く。

頭を撫でてやると、彼が顔を胸に埋めてきた。


きっと色々今までの辛かったことが爆発したんだろう。
とりあえず、泣き止むまでそのままにしておこう。