「社長は、奥さんのこと愛してるんですね」
「え?」
「どうでも良い相手なら、自分のことを好きにならない相手なんて選ばないですもん」
彼もふふっと含み笑いをした。
「ああ、もちろん好きだよ。
…今日は恥ずかしいことを言ってばっかりだな」
「これを機会に仲直りしたらどうです?
お子さんができてからうまくいってなかったんでしょう?」
「君に言われてもいまいちピンとこないけど…そうなるように努めてみようかな」
社長が嬉しそうな顔をしてくれてほっとした。
この人も、あたしと同じで寂しさを紛らわすために愛の無い恋愛ごっこを始めたんだ。
気持ちの持ち様で、奥さんともうまくいくに決まっている。