38度…


「やっぱり出たか…」

「昨日早く寝てたのはそのせいだったんだ?」

「うん…千絵さんにうつってないといいんだけど…」


こんな時まであたしの心配をしてくれるのが素直に嬉しかった。


「あたしは体強いから大丈夫。インフルエンザの人が周りにいても全く元気なタイプだから。
今日はゆっくり寝てないとね。
市販の風邪薬ならあるけど…飲む?」


「お願いします…」


ただでさえ細い体が今日はさらに弱々しく見える。
ちょっと触っただけでも壊れそうだ。

「じゃあ、お大事にね。
おいしい物でもお土産に買ってきてあげるから」


「ありがと」


ベッドのそばにあるテーブルに薬と水と氷枕を置いて、寝室を後にした。



今日は社長との関係を終わらせる日だっていうのに…
全く幸先悪いなぁ。