そんな不安な気持ちのあたしとは対照的に、彼は笑いだした。

「可愛いこと言うね。
大丈夫だよ、動物じゃないんだから。こんな快適な部屋があって、優しい千絵さんがいるのに、出ていくわけ無いじゃん」


なだめるように彼はそう言った。
だけどあたしはまだ納得できないままだ。

でもそんな気持ちは言葉に出さなかった。
これ以上素直になったら、本格的に駄目になるから…


「信じてるからね」


そう言った。
抱き締める手に力がこもる。