思い出した…
彼女はお酒が入ると泣き上戸になるんだった。
そういえば去年の忘年会でも散々泣かれたんだっけ。

「こんな先輩のために泣いてくれてありがとね。」


目の周りが真っ黒になっている彼女にティッシュを手渡した。


「先輩にこんなことで会社をやめてもらいたくないんですよ。
どうせ先輩だって社長に本気になってる訳じゃないんでしょ?」


さすが、あたしのことをよく分かっている後輩だ。


「…分かったわ、もうやめる」


案外それを決断するのは容易かった。
言ったとたんすごく肩の力が抜けるような気がした。
少なからず、社長との関係が重荷になっていたのは事実だ。


「よかった〜」

そう言ったかと思ったら、さらに勢い良く泣き出した。

「全く、忙しいんだから…」

そんな様子を見て、思わず笑ってしまった。