何となく、音のする方向へ向かってみる。

日向君も斜め後ろをついて来ている。



さっき居た階段とは互いに死角になる位置に人影があった。
足音があまり立たなかったようで、向こうはこちらに気が付いていない。


さらに近づくと、それは話題にしていた犬飼君だと解った。

彼は犬猫でも呼び寄せるようにチッチと舌を鳴らしながら茂みの中に向け、小さく手招いている。
彼の視線の先の草が小さく揺れていた。
犬か猫でもいるんだろうか。



「不良が動物好き、と。ああいうのがギャップ萌えって言われるんだね!」

日向君が楽しげな声とは裏腹に、憎たらしげな、嫌味を言うかのような顔をしていた。


「……そうね」

別に彼は目つきがキツイだけで、特に不良ではない気がするけれど、
そもそもよく解らないけれど、この話を引っ張ってもどうしようもないので同意だけするに留めた。
これもインターネットの弊害ってものだろうか。


すると今の会話でこちらに気づいたらしい彼が振り返る。