水で膨らんでしまったり、焼けて爛れてしまったり。
何故だか細かく切り刻んだりとか。

めちゃくちゃにすべてを組み合わせた結果。


人ひとり分ほどの肉塊、もしくは物体Xがそこに居た。

見えない人の方が多いだろうけれど、私たちから見れば、確かに存在している。



「……うっわぁ」

ドアに手らしき部分をかけ、今まさにドアを開けようとしているその光景を見て、日向君が声を上げた。



覗こうとしているという事は、誰かが中に居るという事で。


「ほら、一人じゃないみたいだから行って来たら?」


トイレからは少し離れた位置で止まったままの日向君の背中を押してみる。



「いや、無理だよ!開けらんないもん!」


怖い話は好きなくせに、いざとなると怯える。
そんな彼の気持ちがいまだに解らない。



仕方がないので、ため息を吐きながらドアへと近づく。



成仏させるだとかは出来ないけれど、私には出来る事がある。
それをしようと手を伸ばした。


瞬間、目の前の物体は消え去っていた。



そして、間もなくドアが開く。