「よし、次ハードルだ。一人ずつ名前を読んだ奴からこい」
そう言われて始まったはいいが、なかなか自分の名前が呼ばれない。
もしかして俺、最後か?
そんなことを考えながら、記録中のランナーに目をやる。
と、何故か早瀬が監督と一緒に記録をしており、ランナー一人一人に何か言っている。
「えっと、秋山君はもう少し、跳ぶ時に後ろ足の足首を意識した方がいいかな。あと、左右の腕の振りのバランスが悪い」
「佐々木君はスパイク合ってないと思うよ。サイズがもう0.5cm小さい方がいいな」
何だあいつ。
実際記録中のランナーもそう思っているに違いない。
いや、このグラウンドにいる誰もがそうかもしれない。
しかし監督は、それに頷くばかりである。