「!?」

即座に声に反応した俺は、声のした方向。
何の変鉄っていうよりは、何も特徴が無いのが特徴の真っ白な2つビルの間を覗いた。

「いない?」

ビルの間には、誰もいなく、ただつむじ風が吹いていただけだった。

「声の主は何処に!?」

といって、ここからミステリー展開が始まるわけではなく、

「誰もいないの?、本っ当使えないわっ、ぷ何すんのよ!くっ、ふっ、ゴニョゴニョ……」

声は、ビルの裏から聞こえてきた。
さらに人目に付かない場所だ。

そして、声を出した本人は口を封じられたらしい。猿ぐつわか? 

女をビルの裏につれこみ、声を出せないように口を塞ぐ。

俺は最悪の状況を想定していた。


一刻でも早くその人を助けるため、俺は裏側にまわった。
別にその人に恩があるわけでも無いし、特別知ってる人だとも思わない。

じゃあ、何故助けるか、それは……俺がお人好しだからだ。困ってる人がいたら手を差しのべずにはいられない。たとえ、それで自分が傷つこうとも。

それだけで十分だろう。


裏側にまわると、やっぱり。
ぱっと見、大学生くらいの男3人グループが、俺と同い年くらいであろう女子を囲んでた。

「良かった。まだ何もされてない」
だが大学生達は、いまにも襲いかからんとばかりに、まるで野獣のような目でその女子を見てた。

方向的にこちらを向いてた女子は、僕を見ると、最初は驚いたのか、少し瞳孔が大きくなったが、良く見たらまだ子供か、とでも思ったのか、すぐに目を逸らし諦めたような顔になった。

うぅ、少し傷ついたぞ今の。

まあ、俺には最後の切り札も在ることだし。

こういう時には、落ち着いて説得するのが一番だ。
まずは、話しかける。

「えー、ちょっと。そこのお兄さんたち? 
そこの女の子も嫌みたいだし。
今回は、見逃してくれないかな?」