―…

奴は手を合わせて謝ってきた。


私は、陸橋の縁に肘をついて、
そいつを不審がって見た。


変な奴。



妙に人懐っこいし、
人を自殺願望者だと勘違いするし。



奴はつぶらな瞳で私を見て、
また笑った。



「いやぁ、ごめん!ごめん!」

「別にいいけど…それにしても何で?」



「あ~、アパートの窓から何やらボーっと突っ立ってる奴がいるなぁって見てたらさ、かれこれ二時間くらい経ったんだぜ?普通にヤバイと思うだろ」

「二時間?!私そんなにここにいたんだ…」





あれ、今何て言った?

アパートの窓から?




「ねえ、ちょっと。アパートって?あんたのアパートどこ?」

「へ?ああ」




奴はニンっと笑って「アレ」と自分のアパートを指差した。

その先を見るとボロアパートが一軒。





予想は的中した。

あれは、正真正銘、私のアパート。