「お待ち下さい!」

静まり返っていた廊下に突如響いた声。

その声に、幸守の意識も現実へと引き戻される。

握りしめた両手が汗ばんでいる事に気付き、幸守は小さく苦笑した。

深呼吸して心を落ち着けると、声のする方に視線を向ける。

襖の向こう側。

廊下に響く足音。

(子供…?)

幸守は首を傾げた。