それは幸守にも当然分かっていた。

分かった上で、それでも易々と従う気にはなれなかった。

自分を見捨てた父の言いなりになる位なら、いっそ潔く死を選んだ方が良いような気さえした。

けれど、どうしても一つの思いを消せずにいた。

(何故今更…?)

理由を知りたい、と幸守は思った。

死を選ぶのは、その後でもいい…。

そう結論付けた幸守だったが、彼自身気付いてはいなかった。

心の奥底で、父の愛情を求めていた事を…。

そして幸守は知らなかった。

嵐の中へと、自分が歩き始めた事を…。