怒りに息を荒げる幸守を、男は冷ややかに見つめた。

そして小さくため息をつくと、ゆっくりと口を開いた。

「これはお館様の…吉井家当主の意に御座います。それに反するはどうゆう事か…」

そこまで言うと、男は一旦言葉を切って、幸守を見つめる瞳を鋭くした。

「お分かりですな!?」

男は威圧するように言い放った。

当主の意向は絶対であり、それに背く事は決して許されない。

たとえそれが父と子の間柄であっても。

意に反する…それは即ち死を意味していた。