自分を兄と呼んだ少年を、幸守は凝視した。

理解しようとはするものの、上手く思考が働かない。

顔を上げた少年は、依然として満面の笑顔を浮かべている。

その瞳には一点の曇りもなく、少年の言葉が偽りで無い事だけは幸守にも分かった。

「そうか…」

絞り出す様に幸守は呟いた。

「兄上…?」

不安そうに声を震わせる少年の言葉に、幸守はハッとした。