小走りで駆けて来る足音は、確かに子供のものに違い無かった。

しかし…。

(誰だ…?)

どう考えても、この家と結び付く子供が、幸守には思いつかない。

考えている内に、足音は襖の前まで来ると、ピタリと止まった。

幸守は、開かれるであろう襖をじっと見つめた。

ところが、しばらくしても襖が開かない。

確かに、襖の向こうに人の気配はあるのだが、何故かその人物は襖を開けようとしない。