「慧が好き…」




『慧が好き』?




「っ…嘘…」




意味を理解した途端、頬を水滴が伝う。




お願い…




(夢なら覚めないで)




腕の力が弱められ、藤咲の顔が見えた。


眼に映るのは



(大好きなあの笑顔)




「嘘じゃねぇし…。あの日…ほんとはお前に告白されて、断ろうとしてた。俺が好きなのは高橋さんだからって…だけど…あの日からお前避けるし…」



「っ……」



涙が止まらない。



「…でも…それで気付いた……」


「高橋さんに会えないことよりお前と話せない方がツラかった…」


ぽんっと優しく頭に置かれた手。



「告白されたから好きとかじゃねぇから、安心して。」



「俺、初めから慧のことが好きだ。」



「今も好き。」



「好きだよ。」



「だから……」



「『最後』とか言わないで。」



「っ……!!」