カチカチと時計の音だけが私の耳に響く。


あの日とは逆で窓際にいる藤咲と廊下側にいる私。



藤咲は私から眼を逸らしているため、私からは表情が見えない。



「…藤…咲…?」


何も言ってくれない藤咲に私は不安になって声を掛けた。


するとゆっくりと藤咲と視線がぶつかった。



「っ……ざ…んな…」


「え…?」


「ふざけんなよ…。」


「っ……」



投げ掛けられた言葉に私は何も言い返すことができない。


だって藤咲は当然のことを言っているから……



「っ…最後のわがままって……」


「っ…ごめんなさい…」


すると藤咲が机を避けて私の方に向かって近付いて来た。



「逃げんなよ。」



私は反射的に後ろに下がろうとしたけど無理だった。